ターナーの機関車(1844年)

雨、蒸気、速力
雨、蒸気、速力

<雨、蒸気、速力>と題されたターナーのこの絵は、日本では山下達郎の歌で知った向きも多いと思う。

この絵はグレート・ウエスタン鉄道を走る初期の蒸気機関車を描いたもので、ターナーは例によって入念な準備のうえで制作した。汽車の窓から、暴風雨の中に顔を10分間も出し、観察したという。列車は鉄橋を渡っており、下の川に小舟が見える。

 

ジョセフ・ターナーはイギリス最高の画家の一人である。

この上ない速さで制作したが、その創意あふれる見事な作品は他に類がない。

30歳までに成功をおさめ、ロイヤル・アカデミーの著名な会員となったが、無骨で社交を嫌う秘密主義的な性格は変わらず、身なりをかまわず吝嗇であることでも有名だった。

ロンドンに育ったターナーはテムズ川に魅せられ、水と船は常に最も大きなインスピレーション源であった。生涯にわたって市の川沿いの地区で暮らしたが、イギリス国内だけでなくヨーロッパにも頻繁に旅をし、新しいドラマティックな風景を探し求めた。

76歳で世を去ったとき、2万点を超える膨大な作品が残されていた。

 

ジョセフ・ターナー(1775~1851年)